【ダメな失敗事例】マンション購入の留意点①【資産価値ある物件を適正価格で購入するコツ】

前回まで、3回にわたり、主に定量的な側面から、海外駐在可能性のある会社員の、住居用不動産の購入について、語ってきました。

定量面にフォーカスして住宅を購入するのであれば、「資産価値」の高い住居を、適正価格で買うことが重要です。また、住宅ローンというレバレッジがかかった状態で、海外駐在に伴い、住宅を賃貸すると、資産形成のスピードが加速します。

<参考記事>
【駐在前がおすすめ】海外赴任可能性のある会社員の不動産購入①【マンション資産価値が重要】
【住宅購入の定量的リスク】海外赴任可能性のある会社員の不動産購入②【近隣中古物件相場との比較は必須】
【駐在時の住宅ローン控除】海外赴任可能性のある会社員の不動産購入③【住宅購入が非効率な場合】

実は、僕が数年前に、東京でマンションを買った時は、不動産の「ど素人」でした。

購入後に、マニア心に火が付き、いろいろと知識・経験を得る中で、結果的には、及第点の物件を、悪くないタイミングで買えたと、結論付けていますが、もし、購入当時、そのような知見があれば、もっと「資産価値」の高い物件を買えた、との思いもあります。

また、巨額のマンション契約を、深く考えることなく、締結してしまったばかりに、相当な悩みを、長期間に渡り、抱えることになりました。もし、事前に少しでも、不動産の知識があれば、そのような悩みで、人生の貴重な時間を無駄にすることもなかったのだと思います。

今回からは、同じ悲劇を繰り返さないため、僕の経験を踏まえて、マンション購入時に、最低限、知っておくべき知識について、語りたいと思います。

マンション購入のダメ事例

まず、最初に、恥ずかしながら、僕がマンションを購入した時の状況を、反面教師として、もう少し説明したいと思います。

そもそも、かつての僕は、不動産に興味がなく、自分の賃借物件のベランダの方角さえも知らない有様でした。たまたま、近隣で新築マンションの建設を知り、何となくモデルルームを訪問したものの、特に興味が湧くこともなく、放置していました。ある週末の明け方、千葉北の海に向かって運転する車の中で、「東京オリンピック決定」の速報を聞き、突然、「マンションを買おう」と思い立ち、すぐに契約しました。

それが、悲劇の始まりでした。契約したものの、「本当に賃貸ではなく、購入が正解だったのか」「本当にその物件で良かったのか」「本当にその部屋で良かったのか」など、頭の中から、ひと時も、マンションのことが離れない状態が、数年間続きました。

手付金放棄してでも、契約破棄することも真剣に考えつつ、結局、契約する部屋の変更など、紆余曲折を経て、引き渡しを受けました。部屋の変更は、手付金はキャリーして再契約との取り扱いで、その間に、消費税率が引き上げられたので、100万円単位の追加支出をすることになりました。入居後は、何となく立候補した理事会で、理事長になってしまい、アフターサービスの対応などしていたところ、敷地の一部が浸水被害にあうなど、次々と試練が襲ってきました。

このダメ事例の、一番の失敗点は、生活圏を変えなくてよい近隣に、新築マンションができたというだけで、「資産価値」についての定量的な分析なしに、気分的な高ぶりのみで、購入契約を締結してしまったことに尽きます。ひとたび、契約してしまうと、法的拘束力が生じますので、一方的に、契約条件を変えることは、できなくなってしまいます。

「資産価値」のあるマンションを、適正価格で買うための、第一歩は、「立地」の検討です。

立地の検討

マンションを含めた不動産の価値は、ほぼ全てが「立地」で決まると言っても、過言ではありません。その他の様々な要素は、「資産価値」という点だけにフォーカスすると、些細な論点に過ぎません。

都心に近く、駅近が良いと、よく言われますが、僕も、その通りだと思います。都心・駅近の定義は、様々なところで議論されているので、ここでは、少し別の切り口で、「その物件を借りたいと思う人が、どの程度いるか」との視点で、立地の優劣を語りたいと思います。

賃貸需要の確認

同じマンションの別の部屋を購入する人は、自分と似た属性の人となることが、多いです。それは、その物件を賃貸に出した時も同様で、同じ様な属性の人が、借りてくれる可能性が高いです。

そのため、自分と同様の属性の人で、物件の最寄駅から職場に通勤する人が、どの程度いそうかを想像すると、潜在的な賃貸需要がイメージできます。実際に、同じ会社や、同業他社の人で、近隣に住んでいる人を、何人も思い浮かべられるようであれば合格です。

なお、自らの会社に、借上げ社宅制度などがあれば、会社制度を参照することで、どの程度の家賃で、どのような人が賃借するか、よりイメージしやすいと思います。実際、僕の物件の、同じ階に、賃貸で住んでいた人は、同じ会社の人で、海外から帰任後に、借上げ社宅として住んでおり、僕と時期を同じくして、再度ロンドンに旅立って行きました。

また、近くに大学や大規模病院がある場合、大学関係者や医師の賃貸需要もあるでしょうし、経営者や士業などは、職場へのアクセスが良ければ、「必要経費」を活用し、賃貸を選択する人もいるでしょう。

ファミリータイプのマンションであれば、職場へのアクセスのみならず、配偶者の実家へのアクセスも、実は、重要な要素です。僕が購入した物件でも、購入の理由として、沿線の先の東京近郊県に、妻の実家がある、という人が多くいました。そのため、沿線の後背地に、大きな戸建て住宅地が広がる場合、ファミリー層の賃貸需要も高まると考えられます。

物件の適正価格

自分と同様の属性の人で、賃貸需要がありそうと見込めれば、次は、その「立地」に対する適正価格となっているかを、検討する段階です。

割引率の測定

適正価格の検討には、近隣中古物件の売買実績額と比較する方法がメジャーですが、ここでは、賃借料と物件価格から算出される、「割引率」を用いて検討する手法を紹介したいと思います。

まず、近隣同様物件の、賃貸相場の年間家賃を、実際の物件価格で割って「割引率」を算出します。その賃借料が、将来ずっと続くと仮定した場合、将来の賃借料合計を、この「割引率」で割り引いた「割引現在価値」が、物件価格と一致する、との関係にあります。

割引率の適正水準

この「割引率」は、賃貸に出した場合の、税金や維持費を考慮する前の「表面利回り」と呼ばれるものと同義で、本来は、自己居住用の不動産であっても、5%以上であることが望ましいです。ただし、現在の市況下では、そのような物件を見つけることは非常に困難で、4.5%程度なら妥当、どれだけ低くとも4%程度までが限界と思います。

超都心の物件では、「割引率」が3%台のものもありますが、この場合、賃貸に出したとしても、空室期間や、税金・維持費を考慮すると、ほとんど手残りが無い状況が想定されます。資金力が十分にある人であれば、資産価値の維持やインフレ対策として、資産ポートフォリオの一環で、このような物件を持つこともあり得ると思いますが、実需で、住宅ローンを組んで購入するとの観点からは、3%台は、危険水域だと思います。

まとめ

定量的な「資産価値」を最優先にマンションを購入するのであれば、「立地」が最重要となります。また、その「立地」における適正価格の測り方には、近隣中古物件の売買実績額を見る方法のほかに、近隣物件の賃借料と物件価格から「割引率」を算出して、検討する方法もあります。

僕の場合、「ど素人」として、「資産価値」について、何の定量分析もせず、不動産を購入したばかりに、その後、長きに渡り、苦しみが継続することになりました。結果的には、悪くない時期に、悪くない物件を買えたのですが、それは、単に、運が良かっただけです。

マンションは、情報の非対称性が非常に大きい買い物です。これから、マンションの購入を検討されている方は、最低限の不動産知識を身に着けて、物件をリサーチされることを、強くおすすめします。

次回は、マンションの「資産価値」を測る際の尺度となる、「坪単価」とその歪みについて、述べたいと思います。

<次回記事>
【坪単価による資産価値検討】マンション購入の留意点②【近隣物件の相場と比較】

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