【海外駐在時】不動産に関する日本の税金②【留守宅の賃貸】

前回は、海外赴任時に、日本の居住用不動産を売却する場合について学びましたが、今回は、その続きで、賃貸する場合です。

<参考記事>【海外駐在時】不動産に関する日本の税金①【売却と特別控除】

赴任後に、留守宅の賃貸を開始する場合、「非居住者」として、国内源泉所得である「不動産所得」を得ることとなります。そのため、原則として、出国前に「納税管理人」を選任しておき、「納税管理人」を通じて、毎期、確定申告する必要があります。

「不動産所得」は、入居者から受け取った家賃等の「収入」から、固定資産税などの租税公課、管理費用、減価償却費、借入金利子などの「必要経費」を差し引いて計算されます。この所得が黒字であれば、当然、確定申告が必要ですが、初期費用の先行などで、赤字になる年度でも、確定申告することで所得税が戻ってくる可能性もあるため、確定申告するのが望ましいです。

「必要経費」について、例えば、日本への一時帰国費用の一部を、「必要経費」にできるかなど、悩ましい問題があります。これは、日本のみならず、米国の申告で、より大きな金額インパクトが生じる問題にもなりますので、別の投稿で、より詳細に語りたいと思います。

<参考記事>
【高い累進税率による課税】米国駐在員の留守宅賃貸に係るアメリカ税金【一時帰国費用の取り扱い・損失の相殺制限】

また、「非居住者」が留守宅を賃貸に出す際、借り手が法人の場合に限り、賃借料の20.42%を源泉徴収されます。リロケーション会社を利用したり、法人による借上社宅の場合などが、該当します。「非居住者」として、申告すべき国内源泉所得が、他に限定的であれば、実際の税額は、源泉徴収額より大幅に少なくなることが想定されますので、確定申告により、毎期、還付を受けることが重要です。

なお、源泉徴収額が実際の税額を超過している場合、還付請求権は5年間あるため、各年で確定申告せず、帰任時にまとめて還付申請するとの方法もあります。この方法を取れば、毎年の事務負担は軽減されるものの、タイミング良く5年で帰任できるとも限らないこと、米国においても、不動産所得に対し相当額の税金を納付する必要があり、税金の二重払いになってしまうことから、「納税管理人」を選任し、毎期、確定申告をすることをお勧めします。

次回は、海外赴任後に、不動産を売却する場合について、語りたいと思います。

<次回記事>
【海外赴任後】不動産売却に係る日本の税金【特別控除は3年縛りあり】

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