【頂点に君臨するデベロッパー】マンション分譲事業の登場人物たち【中古でも重要なブランドネーム】

前回まで、2回にわたり、「マンション購入の留意点」と題して、僕の経験を反面教師としながら、「資産価値」のあるマンションの、購入方法について、語りました。

<参考記事>
【ダメな失敗事例】マンション購入の留意点①【資産価値ある物件を適正価格で購入するコツ】
【坪単価による資産価値検討】マンション購入の留意点②【近隣物件の相場と比較】

マンションの価値は、大部分が「立地」できまり、その「立地」における「適正価格」で購入できるかが、「資産価値」を維持できるかの、分かれ道になります。

「資産価値」のみにフォーカスするのであれば、「坪単価」や、賃借料相場に基づく「割引率」(利回り)の分析により、ほぼ目的を達成できてしまいますが、実際に実需として居住する以上、「住み心地」も重要な要素となります。

今回は、「住み心地」の良いマンションを購入するための、出発点として、主に、新築マンションの販売を取り巻く、登場人物について、述べたいと思います。

僕自身が、マンションを勢い余って購入してしまった時には、「売主はデベと呼ばれるらしい」程度の知識しかなく、その他の様々な登場人物の役割は、全く分かりませんでした。

このような僕が、マンション管理組合の活動をする中で、敷地内の浸水事故への対応を行い、マンション分譲事業にかかわる、様々な登場人物と交渉することになったのは、皮肉なことでした。

かなり私見的な部分もありますが、僕が認識する、マンション分譲事業の、登場人物を紹介したいと思います。

デベロッパー

マンション分譲事業の最上位にいる会社であり、売主でもある「デベロッパー」が、マンション開発を企画し、土地を仕入れ、建築会社等を起用し、消費者への販売を主導します。

新築物件の場合、購入者は、「デベロッパー」と購入契約を締結するため、購入条件の変更や、入居後のアフターサービス・瑕疵担保責任の交渉においては、全て「デベロッパー」の意思決定が必要となります。

これは、マンション購入初心者が、見落としがちな重要な点で、購入条件やアフターサービスについて、購入者が普段面する、販売代理や施工会社の担当者と、いくら交渉したところで、「デベロッパー」の意思決定がないと、物事が前に進みません。そのため、いかに「デベロッパー」に話を通し、要求を認めて貰えるかが、重要になります。

マンション分譲事業の、最終的な責任は、すべて「デベロッパー」が負うため、分譲時の「デベロッパー」の「格」が、重要視されます。マンション分譲事業は、土地仕入れ・建設等で、多額を資金が先行して流出し、その後、主に個人への販売で資金を回収するという、自転車操業的な事業であるため、不測の事態にも対応できる、財務体質のしっかりした「デベロッパー」が好まれる傾向にあります。

この傾向は、中古物件でも同様で、物件広告には「分譲時会社」が必ず表記されており、マンション分譲経験が豊富な、大手デベロッパーのブランドネームがついたマンションであれば、安心感が増す人も多いと思います。

販売代理

「デベロッパー」によっては、自社で企画したマンションについて、子会社などに「販売代理」を依頼することがあります。

「デベロッパー」にとって、一番の付加価値は、良い土地を仕入れ、その土地の利益を最大化する企画を作ることなので、消費者向けの販売業務は、別会社に任せるというのは、合理的な考え方でもあります。

「販売代理」形式をとっている場合、担当者は、あくまでセールスパーソンでしかないので、値引き等の交渉は、「デベロッパー」にしっかり伝え、意思決定してもらう必要があります。

施工会社

マンションを施工する建設会社は、新築時のみならず、中古になっても、付いて回る、重要な登場人物です。

新築でマンションを購入する場合、購入者は、物件引き渡し前の内覧会や、引き渡し後のアフターサービス対応で、建設会社の現場監督や担当者と接することになります。また、管理組合を通した、共用部のアフターサービスや瑕疵担保責任の交渉でも、現場監督と頻繁に接することになります。

マンション購入者と、直接的な契約関係にあるのは、「デベロッパー」であり、問題が生じた時の、最終的な交渉相手は「デベロッパー」であるものの、細かい修繕依頼については、建設会社と直接遣り取りすることもあります。

中小規模のマンション建設であれば、特段の技術力は必要ないと言われているものの、購入者は、スーパーゼネコンや準大手と言われる、規模の大きい建設会社を好む傾向にあります。施工不良があったとしても、契約上、一義的には「デベロッパー」の責任となるものの、実際の修繕作業は、建設会社が主導するため、建設会社にも十分な体力と技術力が備わっていることが重要です。

また、中古マーケットにおいては、購入後、施工不良が発覚しても、責任追及できる相手が限定的であることもあり、名のある建設会社が施工していることは、安心感材料につながります。

設計会社

マンションの建設では、「設計会社」が作成した図面に基づき、建設会社が施工するため、マンションの基本性能を測るえうで、「設計会社」の力量も、重要になります。

僕は、管理組合での浸水事故対応において、様々な登場人物と折衝する中で、水の流入阻止や、流入した水の逃がし方などは、「設計会社」の建築士が、どの様な考えに基づき、図面を描くかが重要と、痛感しました。

一般的には、建設会社と同系列の建築士事務所が、「設計会社」を兼ねることが多いものの、中には、大手や独立系で、設計を専門とする会社もあります。そのような会社は、特徴のある瀟洒なデザインのマンションを得意とすることが多く、マンションデザインを見て、「設計会社」を言い当ててしまうマニアもいるほどです。

中古マーケットにおいて、「設計会社」の名前を気にする人は、それほど多くないと思われますが、瀟洒なデザインであれあば、間接的に、購入者にアピールする効果があると考えられます。

管理会社

最後に、マンション管理組合が、管理活動を委託する「管理会社」があります。

マンション購入初心者が、間違えやすい点として、「管理会社」の位置付けがあります。「管理会社」は、マンション区分所有者全員で組成される「管理組合」による、管理や運営の委託先であり、マンションに関する意思決定の主役は、あくまで自分たち「管理組合」です。

新築物件の「管理会社」は、「デベロッパー」の系列会社であることが多く、物件広告にも「区分所有者全員により管理組合を結成し、〇〇管理会社に委託」との記載があります。

一方、「管理組合」での意思決定があれば、「管理会社」をリプレイスすることは可能なため、中古物件を検討する際に、「デベロッパー」系列ではない「管理会社」となっている場合、そのリプレイスの背景を、確認すると良いでしょう。

まとめ

マンション分譲事業は、「デベロッパー」を頂点として、様々な関係者が登場します。

新築マンションを購入する場合、購入者の契約相手は「デベロッパー」で、契約時の交渉や、入居後のアフターサービス・瑕疵担保責任なのどの折衝は、最終的には、すべて「デベロッパー」の意思決定が必要となるため、「デベロッパー」が最重要となります。

また、中古マーケットにおいても、物件購入検討者は、マンション分譲経験が豊富な、大手デベロッパーのブランドネームに、惹かれる傾向があることも事実です。

ただし、繰り返しになりますが、マンションの「資産価値」にフォーカスするのであれば、まず、最初に検討すべきは、「立地」と「適正価格」であり、「デベロッパー」などの登場人物は、付随的な要素に過ぎません。

次回は、「住み心地」を高めるために、マンションの物件概要や図面で、チェックすべき項目について、語りたいと思います。

<次回記事>
【図面から生活導線をイメージ】マンション購入時の確認ポイント①【エレベーターは13人乗りが快適】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です