【図面から生活導線をイメージ】マンション購入時の確認ポイント①【エレベーターは13人乗りが快適】
前回は、「住み心地」の良いマンションを購入するための、出発点として、主に、新築マンションの販売を取り巻く、登場人物について、語りました。
<参考記事>
【頂点に君臨するデベロッパー】マンション分譲事業の登場人物たち【中古でも重要なブランドネーム】
マンションの購入で、「資産価値」を最優先と考えるのであれば、「立地」が最も重要な要素で、その「立地」における「適正価格」で購入できるかが、「資産価値」を維持できるかの、分かれ道になります。
一方、実際に実需として居住する以上、「住み心地」も重要な要素となります。「住み心地」を検討するうえで、一般的には、「間取り」「方角」「階数」など、住戸自体の形状やポジションが、語られます。
もちろん、これらの要素は、マンション購入にあたり重要な検討事項となりますが、今回は、もう少し大局的な視点から、物件概要や図面から見えてくる、「住み心地」への影響を、考えたいと思います。
ランドプラン
新築マンションの場合、ホームページの右上に、「物件概要」という小さなコラムがあります。また、モデルルームに行くと、建物全体の図面を貰うことができます。
中古マンションを検討する際にも、仲介業者が、新築分譲時資料のコピーを用意してくれる場合があります。
派手な文言が躍る広告とは異なり、これらの物件概要や図面には、その土地をマンションとしてどのように活用するかという「ランドプラン」が、事実として粛々と記載されており、この情報を読み解くことで、実際に入居したあとの、「住み心地」のイメージを膨らませることができます。
生活導線のイメージ
図面を眺めながら、マンションへの出入りや、マンション内部を移動する際、どのような導線となるか想像することで、生活をイメージしやすくなります。
まず、出入口の設置場所や、駐車場・駐輪場の位置を確認し、日々の生活の中で、どのような経路で、住戸と行き来するのか、想像してみてください。エレベーターホールや階段がどこにあるのか、メールボックスや、ロビーのソファーやトイレなどはどこにあるのかなど、実際に生活している自分を想像します。検討する住戸の所在階の図面からも、エレベーターや階段を出て、自分の部屋に辿りつくまでの経路を、思い描いてみます。
また、マンションの内部で、ゴミ置き場や共用施設に行くとき、どのような導線となるのかも、想像します。ゴミ出しなどは、頻繁な作業となるため、極端に移動距離が長くなっていないかなどを、確認する必要があります。
さらに、自分の住戸のみならず、同じマンションの、他の住戸の人が、どのような導線を用いるかも重要です。エレベーターや階段、ゴミ置き場、その他の共用施設への導線の中で、自分の部屋の前を、どの程度の人が通過するかを、想像してみてください。
基本的には、自分の住戸の前の交通量が少ないほど、プライバシー性は保てますので、自らの利便性とも比較しながら、「住み心地」の良い住戸なのかを、想像することが重要です。
エレベーター
マンションのエレベーターの個数や大きさは、日々の生活への影響が大きいです。「住み心地」という観点では、より大きなエレベーターが、より沢山ある方が、望ましいです。
物件概要や図面を見て、マンション全体で、エレベーターが何基あり、自らの所在階には、どのエレベーターが利用できるのかを確認します。一般的には、マンション全体で、80戸ほどにつき、1台のエレベーターが設置されていると、バランスが良いと言われています。
ただし、1フロア当たりの戸数が多い中低層マンションでは、低層階で、階段を利用する人も多くなるため、100戸程度に1台でも、許容範囲との考え方や、高層マンションであれば、停止階が多くなるため、より少ない戸数に1台とした方が、望ましいとの考え方もあります。
また、エレベーターの快適性は、定員数にも左右されます。マンションのエレベーターは、9人乗りと13人乗りが主流ですが、両者を乗り比べると、大きさの感覚に結構な違いがあるため、可能であれば、13人乗りが望ましいです。エレベーターの定員数は、図面の詳細欄にも記載ありますので、是非チェックしてください。
駐輪場
駐輪場の状況は、特に、電動自転車を使う人には、日々のストレスを軽減するうえで、重要な要素です。
まず、物件概要や図面の詳細欄から、1戸に対し、何台の自転車置き場が、割り当てられるか把握します。ファミリータイプのマンションで、1戸に1台程度の割り当てしかないと、子供の自転車置き場に困るのみならず、駐輪場が満杯となり、自転車の出し入れが、大変な状況となります。
特に、「スライド式」の駐輪場の場合、満杯になると、隣の自転車をスライドさせてスペースを作るのが、著しく困難になり、日々の生活に困ることになります。また、「2段式」の自転車置き場も要注意で、電動自転車を上段に置かざるを得ない場合、女性の力で、ラックを上下するのは、ほぼ不可能と言っても、過言ではありません。
一方、「資産価値」にフォーカスし、「立地」を重視すると、その分、土地の値段が高く、駐輪場が狭くなる傾向にある点にも、留意が必要です。ある意味、駐輪場のスペースは、「資産価値」とのトレードオフの関係にあるとも言えます。
レンタルサイクルなどを導入し、駐輪場不足を軽減しようとするマンションもありますので、マンション購入前に、駐輪場の状況を確認するとことを、おすすめします。
駐車場
車を所有する場合、駐車場の状況も、注視する必要があります。使い勝手が良いのは、平置きや自走式の駐車場になりますが、良い「立地」ほど、そのような駐車場の確保は難しくなります。
多くのマンションは、機械式駐車場となり、入出庫にかかる時間や、順番待を考慮する必要があります。入庫時は、どのような導線で敷地に進入するのか、出庫時に、操作を待つスペースはあるのか、荷物の積み下ろしはどこでするのかなど、図面を見ながら、想像力を膨らませてください。
屋根がない機械式駐車場だと、雨の日は、濡れてしまうことも、事前に想定する必要があります。さらに、機械式駐車場の場合、サイズが決まっており、車幅や車高のある車は、停められない可能性もありますので、あらかじめ、サイズを確認することを、おすすめします。
また、キャパ不足が問題となる駐輪場と異なり、駐車場の場合、日本人の車離れにより、稼働率が低下し、マンション会計に悪影響することが問題となることが多く、これについては、別の機会に語りたいと思います。
まとめ
「住み心地」の良いマンションを購入するためには、マンション広告の美辞麗句やポエムを見るのではなく、物件概要や図面をみて、実際の生活を想像することが、重要です。
図面を眺めながら、「最寄駅から帰ってきたら、この入り口から入って、この導線で部屋まで行こう」とか、「車で戻って来たときは、ここに停めて荷物を積みだして、この通路から、エレベーターホールに行こう」などと、想像を膨らますのは、非常に楽しいうえ、いろいろな気付きを得ることができます。
次回は、建物構造の住戸への影響を中心に、引き続き、マンション購入時の確認ポイントを、語りたいと思います。