【手付金放棄で契約解除】マンション購入契約締結後の悩み【資産価値と住み心地のバランス】

前回まで、4回にわたり、マンションの「住み心地」について、確認すべきポイントとして、建物のランドプランや、住戸の構造の観点から、語ってきました。

<参考記事>
【共用廊下とアルコープ】マンション購入時の確認ポイント④【用途地域と日照】

マンションの「資産価値」の観点からは、主観的な「住み心地」よりも、客観的な「立地」が最も重要で、その「立地」における「適正価格」で購入できるかが、「資産価値」を維持できるかの、分かれ道になります。

一方、実需として、実際に居住する以上、「住み心地」も、やはり重要な要素で、「資産価値」と「住み心地」のバランスの取れた、マンション住戸を見つけることが重要です。

ところが、マンション購入者は、十分な不動産知識を持たず、売主との「情報の非対称性」が大きい状態で契約してしまい、契約後に「資産価値」や「住み心地」で悩み、「手付金放棄」による「契約解除」を検討する人も多いようです。

僕も、契約締結後、「手付金放棄」も含めて、非常に悩むこととなったことを、以前記載しましたが、今回は、その悩みに対して、どのように対処したのか、体験談を語りたいと思います。

<参考記事>【ダメな失敗事例】マンション購入の留意点①【資産価値ある物件を適正価格で購入するコツ】

物件の資産価値の悩み

僕が、マンションの購入契約に至った理由は、「生活圏を変えなくてよい近隣に、新築マンションができた」とのシンプルなもので、「資産価値」については、深く検討していませんでした。

契約締結後、いろいろと調べ始めると、幸いにも、山手線内側の駅徒歩5分のマンションであれば、賃貸需要も十分に見込める「立地」とのことでしたが、売主がメジャーな不動産デベロッパーではないことが気になりました。

ウェブ上の巨大掲示板である「マンションコミュニティ」や、様々なマンションブロガーのブログなどを徘徊することが習慣となり、マンションのデベロッパーには「格」があり、それぞれがブランドネームをもって、事業を展開していることを知りました。中でも、財閥系不動産会社のマンションは、最上位に位置しており、「〇〇に住んでいます」が、ステイタスになるとのことでした。

一方、僕が契約したマンションのデベロッパーは、会社の規模自体は大きく、十分な体力はあるものの、不動産専業ではない点が気になりました。マンション分譲事業で一番大事なのは、優良な土地を仕入れることであり、古くから土地を沢山保有している企業や、土地の取引情報に豊富なアクセスのある企業も、マンション分譲部門を持っているようです。

毎日ウェブを眺め、マンションには、かなりマニアな世界があることに驚く一方、自らもどんどんとマニアの世界にのめり込んでいき、知識を吸収していきました。そして、最終的には、デベロッパーのブランドネームも重要な要素ではあるものの、より重要なのは、「立地」に見合った「適正価格」で購入し「資産価値」を維持することであり、その意味では、悪くない物件だと、自分を納得させました。

僕の場合、たまたま、契約した物件が比較的駅近で、物件価格が急上昇する前のタイミングでの購入となり、運が良かっただけなのですが、本来は、不動産知識をしっかり持ち、「立地」と「適正価格」のバランスを測り、「資産価値」のあるマンションを見つける選球眼を、先に磨くべきでした。

住戸の住み心地の悩み

契約締結後、物件の選択以上に、僕を悩ませたのが、住戸の選択でした。

僕は、最初、コスト重視と子供の足音対策で、1階の住戸を契約しました。3倍ほどの抽選を経て、購入できることになった時は、嬉しかったのですが、徐々に「住み心地」に対する疑問が、湧いてきました。

僕を悩ませた主な理由は、1階が、グランドレベルから少し掘り下げられていたことと、日照面で不利になることでした。グランドレベルからは、若干の掘り下げで、「半地下」とさえ言う必要がない程度の、僅かなものでしたが、やはり、外を歩く人よりも、少し下がった所で、生活をすることに、心理的な抵抗を感じました。

また、このマンションは、「住居地域」において、比較的広い土地が確保できているので、全体的に日照条件に恵まれているのですが、「日照シミュレーション」によると、1階などの低層階では、早い時間帯から日陰になってしまいます。毎日のように、建築現場を訪れ、グランドレベルから、少し掘り下げて打設されるコンクリートを見ては、ため息をつき、午後の早い時間の日陰を見ては、寂しい気分になりました。

この頃は、毎日、マンションのことが、ひと時も頭から離れることがなく、どんどんと心が消耗していきました。売主の配慮で、比較的早いタイミングで、1階から2階に、契約する住戸を変更してもらったのですが、それでも、日照条件などは、十分な改善がされず、通常マンションより、少し低くなった2階部分も気になり、自分でもどうすれば良いのか分からない、混沌とした日々が続きました。

新築マンションの購入では、販売価格の10%の手付金を先に支払い、物件引き渡し時に、残額を決済することが一般的ですが、「手付金放棄」すれば、「契約解除」も可能です。僕の頭の中では、「手付金放棄」の文字が、グルグルと駆け巡り、ついに、売主にその可能性を伝えることとしました。

しばらくして、売主から返事があり、「契約解除の場合、手付金は返却できないが、上層階の部屋への変更であれば、手付金をキャリーし、契約を再締結することは可能」と、提案されました。この時点で、「坪単価」が、日照条件などにより、比較的割安だった3階までの住戸は、全て埋まっており、4階以上の少し割高な住戸しか残っておらず、さらに、消費税増税により、建物価格が100万円単位で、上がっていました。

「手付金放棄」とコストの増加を天秤にかけ、迷った挙句、「資産価値は悪くない物件」と自分に言い聞かせ、売主の提案を受け入れることとしました。結局、「坪単価」としては、当初の予定より10%ほど高い住戸を購入することになってしまいました。

実際に居住してみて、「住み心地」の観点からは、上層階に移動して良かったと感じる反面、「資産価値」の観点からは、このような「住み心地」を巡るグダグダが無ければ、もっと安い価格で購入できたとの思いもあります。「情報の非対称性」が強いマンション購入においては、一定程度の不動産知識を持っていないと、自らが損をしてしまうばかりでなく、精神的にも疲弊してしまうことを、身を持って体験する、苦しい授業料となりました

まとめ

今回は、僕が、十分な不動産知識を持たず、新築マンションを契約してしまったことにより、物件の「資産価値」や、住戸の「住み心地」で、大きな迷いが生じ、非常に苦しんだ体験談を語りました。

「情報の非対称性」が大きいマンション購入においては、「立地」に見合った「適正価格」となっており、「資産価値」が維持でき、かつ、「住み心地」とバランスもとれた住戸を購入するためには、自ら、不動産知識をしっかり持つ必要があります。

また、仮に契約してから、迷いが生じる場合であっても、売主によっては、手付金をキャリーし、他の住戸を再契約することも可能です。場合によっては、その売主の別の物件に変更できるかも知れませんし、そもそも手付金を5%程度とする交渉も可能との話も聞きますので、売主と積極的に交渉することを、おすすめします。

さて次回は、マンションが竣工し、「内覧会」に参加した時の体験について、語りたいと思います。

<次回記事>
【ホームインスペクターの同行・立ち合い】マンション内覧会の体験談【防音性能の確認】

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