【米国駐在員】アメリカ税金申告における米国源泉所得の考え方【賞与の支給対象期間】

前回は、駐在員の給与の支給方式に、「Net手取額」と「Gross支給額」が存在し、それぞれの方式で、駐在員自身の、税務申告の負荷が異なることを、学びました。

<参考記事>
【米国駐在員】アメリカにおける居住者・非居住者の考え方【二重身分の有利・不利検討】
【Net手取額】米国駐在員のアメリカにおける税金申告方法【Gross支給額】

今回は、「通年非居住者」や「二重身分」の申告対象所得の判断や、「二重身分」による「通年居住者」選択の有利不利の判断において、非常に重要な要素となる、「米国源泉所得」の考え方について、述べたいと思います。

米国源泉所得の判断

基本的な考え方として、「米国源泉所得」の判断にあたっては、どの国の金融機関の口座に振り込まれたかは関係なく、その所得が、「どの国での役務提供によるものか」が重要になります。

賞与の支給対象期間

特に税務申告への影響が大きい所得として、賞与があり、通常、夏と冬の年2回支給されることが、一般的です。

夏の賞与は、前年10月~3月、冬の賞与は、4月~9月を対象としていると仮定すると、例えば、8月に米国赴任した場合、冬賞与の一部のみが、「米国源泉所得」となり、夏賞与には、「米国源泉所得」がまったく含まれないことになります。

逆に、日本への帰任の際には、米国にいた期間に相当する賞与は、支給が帰国後であっても、「米国源泉所得」として、米国での申告対象となります。

繰り返しとなりますが、振込先の口座所在地は関係なく、賞与や一部手当が、日本口座に振り込まれたとしても、「米国源泉所得」かの判断基準は、「どの国での役務提供によるものか」になります。

賞与・給与の非居住者申告への影響

「通年非居住者」の場合、「米国源泉所得」のみが、米国での申告対象となりますが、例えば、8月に米国赴任すると、賞与については、冬賞与の一部のみが申告対象となります。

また、米国赴任後、出張などにより、他国に行って業務を行っている期間に対応する給与は、「米国源泉所得」に該当しないこととなり、米国での申告が不要となります。

僕の知り合いは、このケースで、初年度の申告で、多額の還付ポジションとなったとのことですので、赴任の年に、国外出張が多い方は、米国での税額が圧縮される可能性がある旨、頭の片隅に留めておくと良いかも知れません。

二重身分の通年居住者選択

次に、「二重身分」の場合は、「通年居住者」選択の有利不利判断をする必要があります。

「非居住者」の期間があることにより、当該期間は「米国源泉所得」のみが申告対象となるメリットと、「通年居住者」を選択することで、通年で全世界所得に課税される一方、「夫婦合算申告」による有利な税率(および外国税額控除)を適用できるメリットを、比較衡量することになります。

上述の通り、夏賞与は、「米国源泉所得」に含まれないことが一般的であることから、夏賞与支給日に、米国の「居住者」(全世界所得課税)となっているかが、一つの目安となりそうです。

すでに「居住者」となっており、夏賞与の米国課税が避けられないのであれば、「通年居住者」を選択し、税率を引き下げる効果の方が大きい可能性があります。

さて、次回は、米国の個人所得税申告における、日本の留守宅の賃貸の取り扱いについて、語りたいと思います。

<次回記事>
【高い累進税率による課税】米国駐在員の留守宅賃貸に係るアメリカ税金【一時帰国費用の取り扱い・損失の相殺制限】

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