【駐在員が住む学区は大差なし】ニューヨーク郊外物件の選び方⑧【Great! SCHOOLSで小学校の学年をチェック】
前回は、NY郊外の物件選びでは、冬場のことも考えて、歩道リスクを検討する必要があることを、語りました。
<参考記事>【歩道の雪かきは居住者の責任】ニューヨーク郊外物件の選び方⑦【Googleストリートビューが便利】
今回は、子供がいる駐在員家族は、避けて通れない、学区選びについて、述べたいと思います。
日本でも、文京区の3S1Kに代表されるように、公立小学校の学区が重要視され、それが不動産価値にも反映されます。例えば、文京区の、人気学区にある、ファミリータイプのマンションであれば、不動産価値が維持され、賃貸相場も安定し、売却時の流動性も高まる、といった具合です。日本の公立小学校であれば、教育内容に大きな差が付かないよう設計されているはずですが、やはりブランド学区は、昔から好まれています。
アメリカの場合は、学区による優劣が、日本と比べて、より激しい傾向にあります。
当地での学校教育は、その地域のSchool Districtの裁量が大きく、どれだけ学校教育や教員、建物・設備に予算がかけられるかは、Districtの税収に依存します。例えば、高い教育水準で有名な、Westchesterのスカースデールでは、固定資産税が非常に高く、一軒家で年間数百万円となる場合もあり、その税収の大部分を、学校教育に割り当てています。これが、就学世代の子供をもつ、教育熱心な高所得者層を呼び込み、不動産価格も高値で安定する、との好循環になっています。
なお、少し余談ですが、住所とSchool Districtは、必ずしも一致する訳ではなく、スカースデール住所であっても、独自のSchool Districtを運営している地区があったり、隣町のEastchester学区となる場合もあります。特定の小学校に狙いを定めている方は、物件の通学区の確認が重要です。
とはいえ、僕の印象では、日本人駐在員が好む地域の学区であれば、少なくとも、小学校のレベルでは、それほど優劣はないと感じます。特定の学区に固執するよりも、街の雰囲気や、物件自体の好みで、決めて、特段問題ないと思います。
通学区の小学校について気になる方は、”Great! SCHOOLS” というサイトが便利で、各学校を10段階評価でRatingし、人種構成などのデータも見れるため、参考になります。ただし、一定Rating以上であれば、それほど差があるとも思えず、例えば、ハリソンの” Parsons Memorial Elementary School” が7で、Eastchesterの” Greenvale School” が10となっている点に、有意な差は見出せません。
むしろ、”Great! SCHOOLS” では、”Grades”(学年)を、チェックすると良いです。日本の小学校のように、画一的に決まっている訳ではなく、特に、兄弟がいる場合、同じ学校に通学できるのか、との視点が必要です。多くのElementary Schoolは、”K-5”と表記されており、ひとつの学校で、KindergartenからGrade 5までを対象としますが、先ほどの” Greenvale School” は”2-5” が対象で、”K-1”は別校舎の “Waverly” となります。
なお、当地の学年の区切り方は独特で、Westchesterの場合、「その年の12月1日時点で、7歳になる子は、9月から始まる新学年はGrade 2」との決め方で、英語力などの問題で、意図的に「1学年下げる」ことも、頻繁にあります。
最後に、日本人がなるべく少ない学区の物件を探すことの、是非です。米国滞在予定が1年程度と少ないのであれば、英語力を急成長させるとの観点で、日本人が少ない方が良い、との考えもあり得ると思います。一方、3~5年程度の滞在予定があれば、日本人が一定数いたとしても、1年目・2年目は、そこまで成長しないにしても、2年目の終わり頃から3年目にかけて、大きく英語力が飛躍したという話もよく聞きます。むしろ、4年目以降は、日本語力の心配をしている、両親も多いように感じます。
スカースデールの中でも、駅から遠いエリアの小学校は、かなりのお金持ちの子供が沢山いますので、日本人は少なくなったとしても、経済的格差が辛く、中国人のクラスメートとしか仲良くなれなかった、との話も聞いたことがあります。
さて、NY郊外物件の選び方として、複数回に渡り連載を行ってきましたが、次回は、まとめ記事を記載したいと思います。